メタスキルとは?定義やハード・ソフトスキルとの違い、身に着け方を解説

メタスキルとは、ビジネスを取り巻く環境が絶え間なく変化する現代において最も必要となるスキルです。技術力のようなハードスキルや、リーダーシップなどのソフトスキルとも少し異なります。一方でハードスキルやソフトスキルを伸ばし、活かすためにはメタスキルが求められるのです。
この記事では、メタスキルの概念を掘り下げ、なぜそれが今日の世界でこれほどまでに価値があるのか、そしてどのようにしてこれらのスキルを身につけ、磨き上げることができるのかを探求していきます。

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スキルには3種類ある

一口にスキルといっても、ハードスキル・ソフトスキル・メタスキルの3種類に分類されます。

メタスキル・ハードスキル・ソフトスキル

ハードスキル

ハードスキルとは、特定の職業・業務に求められる専門性の高いスキルを指します。たとえばエンジニアであればプログラミング言語のスキル、営業部であればマーケティングのスキルなどがハードスキルの例です。ハードスキルは資格の有無など客観的な指標で測定しやすいうえに、教育や研修での習得もしやすい点が特徴といえます。
 
【ハードスキルの例】
・プログラミング言語【Python・C言語・Java・PHPなど】
・SEO
・Office(Word・Excel・PowerPointなど)
・マーケティング
・データサイエンス
・語学力
・簿記
・CADなど

ソフトスキル

ソフトスキルとは職業・業務の種類を問わず汎用的に必要となるスキルです。コミュニケーション能力やリーダーシップのように、個人の特性や資質に関わるようなスキル全般を含みます。ソフトスキルはハードスキルとは対照的に、客観的な指標での測定や評価が難しいのが特徴です。一般的にソフトスキルの多くは教育や研修でなく、各個人の人生や経験のなかで培われるものと考えられています。
 
【ソフトスキルの例】
・コミュニケーション能力
・リーダーシップ
・協調性
・時間管理能力
・発想力など

メタスキル

メタスキルとは、簡単に言うと、スキルを効率的に獲得したり使いこなしたりするためのスキルのことです。たとえば、あるスキルを身に着けたい場合に「そのスキルを習得するにはどうすればいいか」を考えられる能力がメタスキルと言えます。
 
専門的に言うとメタスキルには、少しソフトスキルと重なる部分もありますが、問題解決能力・批判的思考・適応能力・想像力などが含まれ、全てのスキルを習得・応用する基盤となります。英語で「Meta-Skill」と書きますが、Metaとはギリシャ語で「繋ぐ・越える」といった意味を持ちます。その言葉どおりメタスキルは、ソフトスキルとハードスキルを繋ぎ(垣根を越えて)それらを習得・応用するための基盤となるスキルなのです。

ハードスキルだけをもつ人材は器用貧乏となり、そのスキルを効果的に発揮することができません。ソフトスキルに偏りハードスキルやメタスキルのない人材は、そもそも戦力にならないでしょう。ハードスキルとソフトスキルに加え、それらを正しく活かすことができるメタスキルを含めバランスよく備えた人材が求められるのです。

ハイパーアイランドが考えるメタスキルの定義

 
メタスキルの定義は、識者によっても異なります。私たちハイパーアイランドが考えるメタスキルの定義は以下のとおりです。
 
メタスキルとは特定の技術的・機能的能力を超えて、さまざまな状況に適応し、学習を続け、活躍することを可能とする高次のスキルです。メタスキルには、クリティカルシンキングや創造性、感情的知性、適応性などが含まれます。組織がメタスキルの育成を優先することで、俊敏かつ革新的に課題を乗り越えることができるリーダーなどの人材が育つのです。
 
ハイパーアイランドでは、メタスキルに以下の能力が含まれると考えています。

変化に対応する力(適応力)

メタスキルには、変化に対応する力(適応力)が含まれます。変化に対応する力とは、環境の変化に柔軟かつ迅速に適応する能力のことです。
 
現代社会は急速に変化しており、新しい技術や知識が次から次へと絶え間なく登場しています。たとえばビジネスの世界では、リモートワークの普及をはじめ働き方が大きく変化しました。新しい働き方を実現するためにも、情報共有ツール・タスク管理ツールなどさまざまなITツールの活用も求められています。こうした変化に適応するために、新しいスキルを獲得したり手持ちのスキルを効果的に活用したりする変化対応力(=メタスキル)が不可欠です。

問題解決能力

メタスキルには、問題解決能力も欠かせません。問題解決能力とは問題の本質や原因を正確に分析し、実現可能な解決案を構築したうえで解決に導く能力です。ビジネスは常に順風満帆であるわけがありません。十分な計画をしたとしても想定外のイベントが発生し、計画が破綻するリスクが生じる方が通常と考えるべきでしょう。分析能力や計画立案能力など持ち前のスキルを駆使し、トラブルに対して適切に対応する問題解決能力(=メタスキル)が求められるのです。

学習と自己成長のための能力

メタスキルには、学習能力や自己成長を促す能力が含まれます。学習能力・自己成長を促す能力とは、能動的に新しい知識・能力を身に着けるのに必要なスキルです。

ビジネスシーンでは、与えられたタスクに必要な知識・スキルを自主的に獲得し実行することが求められます。こういったシーンで、学習能力や自己成長を促す能力が必要になるのです。このスキルには必要な学習の種類を洗い出し、それを効率的に実践する論理的思考力や分析力などが含まれます。新しいハードスキルを習得するためには、効果的な学習方法を発見して周囲の雑音に惑わされずそれを粛々と実行する自己管理能力が必要です。また自己成長(新スキル習得)のためには、目標設定・時間管理といったスキルも欠かせません。これらスキルをまとめて、学習と自己成長のための能力(=メタスキル)ということができます。

コミュニケーション能力・協働能力

 
メタスキルにはコミュニケーション能力や協働能力も含まれます。
 
コミュニケーション能力とは、ほかの人と情報共有や意思疎通をスムーズにはかる能力です。また協働能力とは、ほかの人と対等な立場で協力して働くための能力を指します。より具体的には、協力して働くほかメンバーの力を引き出す能力です。コミュニケーション能力や協働能力は通常ソフトスキルに分類されますが、視点を変えるとメタスキルにも含まれるとも言えます。たとえばコミュニケーション能力は、チーム内で互いのスキルを活かし合い、協働するために必要です。また新しい概念を学習したり、それぞれの異なる視点を統合したりなど、チーム内での自己成長を促進する際にも役立ちます。

今、メタスキルを身に着けることが必要な理由

昨今では「VUCA」の時代から、さらにその不安定さが増した「BANI」の時代へ移行したといわれています。BANIとは「Brittle(脆弱性)」「Anxious(不安)」「Non-Linear (非線形性)」「Incomprehensible(不可解さ)」の頭文字をとった言葉です。簡単に言うと、ほんの少しの未来さえ予測できない状況にあるという意味になります。
 
【関連記事】BANIとは?VUCAに代わる新しい世界を表す言葉
 
たとえばInstitute For The Future (IFTF)等がまとめたレポートには、「2030年に存在するであろう仕事の85%はまだ発明すらされていない」とあります。ChatGPTをはじめとした生成系AIの登場と急速な普及により、現在人がおこなっている業務の多くがAIに代替されるといわれています。それにも関わらず、多くの企業はその準備ができていません。短期的・中期的な視野でハードスキルの習得を目指しても、将来起こりうる劇的な変化には対応できないのです。変化に適応するためには、新しいスキルを柔軟に習得し、それを適切に活用するためのメタスキルこそ求められます。

メタスキルを身に着けるには

本項では日常生活のなかでメタスキルを身に着けるためのヒントを紹介します。メタスキルは一朝一夕で習得できるものではありません。日々の経験から学び、内省し、適応し続けることにより、徐々に身に着くスキルなのです。自分自身の成長プロセスに対する意識を高め、積極的に新しい学習機会を追求することが求められます。
 
以下、具体的なヒントをひとつずつみていきましょう。

新しい経験に積極的に挑戦する

新しい活動や趣味に挑戦することによって、未知の状況に対する経験を積みます。この経験によって、不確実性に対する忍耐力や思考の柔軟性が高まるのです。
 
たとえば読んだことのないジャンルの本を読む、行ったところのない場所へ行ってみるなど、ささいなことからでもかまいません。新しい経験に対する挑戦を積極的に積み重ねることで、変化に適応する力を身に着けられるのです。

学習習慣を育む

生涯学習を続けようとする意識を持ち続け、常に新しい知識やスキルを学び続けることで、変化に対応するための基盤を強化します。オンラインコース・書籍・ワークショップなどさまざまな機会を有効に活用し、自分の知識を広げましょう。

アジャイルマインドセットをもつ

アジャイルとは、機能ごとの小さな単位でフットワーク軽く開発を進める手法です。この手法がもとになり、小さなサイクルで新しいアイデアのPDCAを回すアジャイル思考という概念も生まれました。
 
【関連記事】アジャイル思考とは?メリットや必要性、身につける方法をわかりやすく解説
 
何かに挑戦をする際に、アジャイル思考を心がけトライ&エラーを繰り返すうちに問題解決能力や学習能力などを向上させることができます。

内省(リフレクション)の習慣をもつ

内省は自己認識を高め、個人的な成長や発展を促進するための非常に重要なプロセスです。内省を習慣づけることで自己の思考・同期・行動パターンを深く理解し、自分自身の内面とスムーズに向き合えるようになるというメリットがあります。内省の重要な機会として、他者のフィードバックを柔軟に受け入れることも大切です。他者の視点からみた自分自身を客観的に検証することで、内省のクオリティも向上するでしょう。家族や友人などのアドバイスを傾聴しつつ内省を続けることによって、学習と自己成長のための能力を高めることができます。

ネットワークの構築

自分をサポートしてくれるネットワークを構築することで、変化に直面した際、必要に応じて助けを求めたり経験を共有できたりします。また同じ目標や興味を持つ人とのネットワークを構築すれば、新しい視点で考える機会を得たり、支援を受けたりできるようになるでしょう。ネットワークの構築により、コミュニケーション能力や協働能力、さらには学習と自己成長のための能力なども向上します。

さいごに | ハイパーアイランドの研修がメタスキル習得に役立つ理由

メタスキルは個人で習得することも可能ですが、より短期間で効率的に身に着けるためには、ワークショップや研修に参加してみることもおすすめです。
 
ハイパーアイランドの研修は、特定のハード・ソフトスキルだけではなく、メタスキルの習得を目的としています。ハイパーアイランドでは25年以上の間、世界の様々な企業とコラボレーションしながら、次世代リーダーを育成、輩出してきました。
研修では「Leaning by doing(やってみて学ぶ)」をコンセプトとして、座学のみではなく、様々な課題にチームで協働するなどして取り組みます。そのプロセスには、学習・挑戦・アジャイル・内省・協働・ネットワーク構築など、メタスキル習得に必要な要素が含まれているため、短期間でメタスキルを体感、習得することが可能です。
 
企業研修の他に、個人で受講できるオンラインコースも随時募集しています。短期間でメタスキルを習得し、将来に渡るキャリアに活かしたい方は、ぜひお問合せください。
 
企業向けコース
https://www.tds-g.co.jp/hij/business_program/
アクションラーニングプログラム
https://www.tds-g.co.jp/hij/action_learning/
サードエイジ向け リパーパスプログラム
https://www.tds-g.co.jp/hij/3age/

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