【Hyper Island企業向けプログラム導入事例】東芝テック株式会社 梅本様

dd postを運営するTDSが展開するビジネススクール・Hyper Island Japanでは、個人向けバーチャルオープンコースの他に、クライアント様と共に設計する企業向けプログラムを提供しています。
 
POSレジをはじめとする流通小売業向けソリューションを展開する東芝テック株式会社様(以下、東芝テック)には、社内の人材育成プログラムの一貫として企業向けプログラムを採用いただきました。
 
今回は、同プログラムのファシリテーターを務めるTDSの森杏奈が、東芝テックの人材育成プログラムの責任者である梅本氏に、人材育成アカデミーを立ち上げられた経緯や理念、プログラムの選び方、受講後の参加者の変化や今後の課題感についてお聞きしました。

東芝テック株式会社 梅本氏(右)と、Hyper Island Japanのファシリテーターを務める森杏奈(左)

人材育成アカデミーを立ち上げた経緯、理念

森:
本日はどうぞよろしくお願いいたします。最初に、梅本さんが会社の中で担当されているポジションや領域についてお話しいただけますか?
 
梅本氏:
リテール・ソリューション事業本部の商品企画開発統括部に所属しています。実は我々、2つのソリューション事業本部がありまして、私が所属しているリテール・ソリューション事業本部は流通小売業のビジネスが主体。もう一つのワークプレイス・ソリューション事業本部ではMFP(複合機)やオフィス用のコンピュータなどを手がけています。
 
リテール・ソリューション事業本部の方は、POSレジを中心としたソリューションがシェア50%前後で推移しており、POSレジで東芝テックは国内シェアNo.1なんです。グローバルでも2012年にIBMから取得したPOS事業をベースに、トップクラスのシェアを誇っています。
 
その事業本部の商品企画部門に属してはいるのですが、本部長直下で、これからの人材づくりのプロジェクトとして、「リテールアカデミー」という社内の人材育成の場を立ち上げる活動をしています。
 
リテールアカデミーを社内で立ち上げるに至った経緯ですが、我々は流通小売業に大きな基盤を持ってビジネスを行っています。皆さんもお分かりの通り、顧客接点のあり方が多様化し、加速度的に変容しつつあります。その中で、我々の持つソリューションだけでは展開が難しくなってきました。
またこれから、どんどん新しい技術や機器が展開していく中、それらをうまく取り入れながら、顧客が小売業に対してどんな課題を持っているのか?それを一緒に問題解決していく人材が必要だということを2年くらい前から考え始めたのです。
 
森:
顧客視点に立って、一緒に物事を解決していくという方法に少しずつシフトしていかなければならないという課題感が見えてきたところで、それに適応する人材を育てなければならない、ということですね。
 
梅本氏:
その通りです。我々はメーカーなので、基本的にはモノやサービスを作るということはやっていたのですが、「市場のニーズを調査してこういうモノを作りました」「それを頑張って売っていきましょう」というこれまでのビジネススタイルだけでは立ち行かなくなってきている部分もありました。
 
大きな要因としては、販売台数が減ってきたことです。それに準じて、販売ではないほうの比率が高まってきました。それは箱物とか、単なるサービスではなく、トータルソリューションのようなところが上がっているのです。実は事業自体の売上高は上がっていて、そのソリューションをもっと伸ばしたいと考えました。
 
森:
顧客行動、顧客の変容に合うような形で、トータルに解決をしていく。その部分をもっと増やしていきたいという思いがあったので、適応する人材をアカデミーで育てていくという狙いがあったのですね。リテールアカデミーを設立するにあたって、具体的にどのような人材を育てたいかなど、理念のようなものがあれば教えていただけますか?
 
梅本氏:
これまでは、お客様の顕在化したニーズを解決するのが仕事だったんですね。「こんなことできませんか?」「こんなふうに取り組みたいんだけど、東芝テックさんいい提案ありませんか?」と言われて、プレゼンして、受注していくというスタイルだったのですが、それではダメだなと思いました。いろいろなメーカーさんもあり、他社との競合の中で、我々がオンリーワンにはなれないのです。もっと潜在的なニーズを掘り起こすところから取り組んで、その問題解決のためにどんなことをすればいいのかという事を顕在化させ、お客様に価値を提供し、自社提供ソリューションの変革にも取り組む、という全プロセスをマネージできる人材を作りたいという狙いがありました。

プログラムの提供元の選び方

森:
潜在ニーズを掘れる人材を育成するべくアカデミーを立ち上げたということですが、プログラムの提供元はどのように選ばれたのか、またご自身の中でどのように組み立てていかれたのでしょうか?
 
梅本氏:
半年くらいかけて、いろいろな提供元を検討しました。複数社から提案を受けたのですが、内容が、IT、AI、クラウドなどの個別の技術論を体系化した、How to的なものが多くありました。しかしそれならどこでもやっているし、当社の望む人材育成にマッチしないのではないかと疑問を持ちました。世の中の変化も一定の方向性がなく、今般のパンデミックなど予測不可能な事態も起こる中、これまでのセオリーは通用しないと思いますし、技術進化の速度も速く、それらに臨機応変に対応できる人材づくりが必要だと思ったからです。
 
その中で、TDSさんの提供するHyper Islandの教育プログラムを社内のプロジェクトメンバーと共に「お試し」という位置づけで、一日のコースを体験したのですが、これまで受けたものと全く違うというのがメンバーの共通した意見でした。
 
教科書のようなものがなく、講師ではなくファシリテーターとしてリードしていただくというスタイルにまず驚きました。自分たちで発想して、自分たちで意見交換し、また振り返りから学んでいくというプロセスに共感しました。また、当社の背景を理解いただいて共にプログラムを構築いただけることが決め手となり、「1回やってみよう」ということになりました。初めてのお付き合いでもあり、どのくらい成果が出せるのかもわからないですが、とにかく先入観なしにまず受けてみて、その上で軌道修正していけばいいと思ったのです。
リテールアカデミーという今まで会社になかったものを立ち上げて、これから2期生、3期生と継続して作っていかなければならないわけですから、1期生の彼らはトライアルなんですよね。だから彼ら自身で軌道修正もできるような人材に育ってもらいたいので、まずは「盲目的に受講して考えようね」って言ったら、受講が進むにつれてどんどん食いつきがよくなり、引き込まれていったのです。実務が忙しいメンバーをアサインしているので、通常では欠席者も出るのですが、逆に「なんとか参加したい!」という意見が出るまでになりました。
 
森:
リテールアカデミーは、一定のメンバーで2年間を通して学んでいくということですが、我々のHyper Islandのプログラムの他にどのようなものがあるのでしょうか?
 
梅本氏:
まず業界のことを知らなければならないので業界のトレンドに関する講義を受けたり、DXの事例をピックアップして説明を受けたり、あとは単純に思考だけではなく、発信することが重要になっていきます。エバンジェリストとしても育てたいということで、エバンジェリストの育成プログラムも同時並行で行っています。

人材育成アカデミーメンバーの人選のポイント

森:
いろいろな角度から人材育成に必要なものを集めて提供されているのですね。最初はトライアルというか、試験的にされるというお話だったのですが、1期生の参加メンバーはどういう基準で選ばれたのでしょうか?
 
梅本氏:
それもすごく悩みました。若手という意見もあったのですが、我々は流通小売業でずっと商売をしてきて、継続的にソリューション提供を行い、またアフターサービスをすることで事業を成長させてきました。そこをある程度前線で経験してきた人がいいということになり、入社10年目くらいの、これからまさにチームを率いていくような、5〜6人くらいのチームをまとめるような主任クラスの人材を選抜しました。
 
職種は、SEと商品企画の担当メンバーでした。実は、このプログラムがかなり好評でしたので、営業も変革したいという経営トップの意向もあり、2期生から営業職も入れる予定です。
SEと商品企画になると、どうしても技術論に寄ってしまうところがあり、お客さん目線とちょっとはずれたりする。だからこそお客さんに毎日接している営業を入れると面白いなと思いました。そうする事で、ディスカッションの角度や目線が変わっていくことを期待します。

参加者のモチベーション維持の秘訣とは

森:
まさに、1回やったことを次でバージョンアップさせて、良かったところを継続し、工夫できることを行うという形で継続をされるということですね。
さきほど参加される方のモチベーションが途中から上がったというお話があったのですが、リテールアカデミーの主催側として、参加者の皆様のモチベーション維持や時間捻出のために工夫されたこと、また、苦心された点がありましたら教えてください。
 
梅本氏:
集めたメンバーには時間がありませんでした。つまり、第一線で活躍しているメンバーなので、すごく忙しいわけです。
もっと事前に環境を整えてあげなければならなかったと途中で気が付き、各所属組織のところに出向き、上長に趣旨を話して時間を作ってもらうようにしました。参加しやすい環境づくりと同時に、途中で何回か彼らからヒアリングをして、改善できることは行っていくということをやっています。
 
また、モチベーション上げるために、社内で彼らのポジションのネーミングを作るということを今進めています。『DXアドバイザー』という職能を社内に設けて、それを名刺にも記載することで、対外的にもアピールできるようにしようという動きを今やっています。

受講後に見られた参加者の変化

森:
1期生はまだアカデミー全体プログラムの受講中とは思いますが、我々の提供したプログラムを受講していただいたあとに、受講者の方たちがどういう風に変化したか、梅本さん自身はどのようにとらえていらっしゃいますか。
 
梅本氏:
今までは仕事が忙しいということもあり、全然わけのわからない未知の領域にチャレンジしてみようという感じがなかったのですが、とにかく何でも自分の中にインプットして何かを変えていかなければいけないという気づきがまず生まれました。
何より、皆が言っていたのは、世の中とかインターネットの世界にはこんなにたくさんツールがあるのだと。それが目から鱗で、狭い世界で生きていたなあということを感じ、ツールを使って、「いろんな仕事に活かしていくのがなんだかワクワクするような感じを覚えた」という声も聞かれました。
一番評価が高かったのは、ビジネス・トランスフォーメーションのプログラムです。テーマに流通小売業のお客さんを設定していただいたところは、自分たちの仕事のやり方に直結しており、彼らの腹落ちがとてもよかったです。
 
森:
梅本さんからみて、何か目に見えるような成果だったりとか、ここが具体的にこう変わったなど、何か見て取れるものはありますでしょうか?
 
梅本氏:
数字はまだ表せないですが、今はリモートで仕事をすることがほとんどですので、そのときに今回のHyper Islandさんのプログラムで得たやり方がいろいろと使えるようになってきたという意見が出ています。

社内の人材育成における今後の展望、課題

森:
では、最後の質問になりますが、梅本さんご自身のご意見として、リテールアカデミー、社内人材育成について、これからどのような展望をお持ちか、お聞かせいただければと思います。
 
梅本氏:
今回、社内でも効果があったと高い評価をいただいており、早急に参加者の人数を増やよう言われています。今回18名でスタートして、次回20名になりますが、1年間かけるのではなく、もっと速いサイクルでまわして人材をつくっていきたいと思っています。
あとは、今回彼らがHyper Isalndのプログラムを受講して得た学びを、実務に落としていくことが重要です。そこでまた彼らに試練が待ち受けていることでしょう。我々には何が足りないのか?それはどのようにして彼らにレクチャーしてカリキュラムを組み立てるのか、ということを探究しています。2期生の中に1期生を入れて、プログラムをまわさせてみるというのもありですね。

Hyper Islandでの学びを適用するには

森:
なるほど。いかに自分の現業に対してこの学びを適用させていくかということに対してですが、世界中でHyper Islandの学びを受けた人たちが共通してその課題をもっております。そして多くの人がこの学びをいかに適用するかについて論文を書いています。
手法というよりも、新たなアプローチによって実現させていくためには、本人が試行錯誤するしかないからです。
その試行錯誤をしているときに同じプログラムを受けたことによって共通言語を持つ仲間が、壁打ち相手になったり、相談相手になっていき、自分自身の適用をさらに加速させていくというアプローチをしています。ですので、そこに関して私たちができるのは、皆さんが変革のため実務に学びを適用させる際のサポートすること―「こういう課題があってこういうインサイトが見えてきたのだけど、これを実際ソリューションに落とすときに、どういうフレームワークを使えばいいか」や、「この領域を考えるためにファーカスすべきポイントはここです」など。そういう形のサポートは、これからもさせていただきたいと思っています。
 
梅本氏:
ぜひお願いします。おっしゃる通りで、どうやったら自分たちで実現できるのだろうということを気づかないと、たぶん前に進めないですね。そのときにちょっと手を差し伸べてあげられるものは何か?そこが悩ましいなと思っています。
 
森:
おそらく適用させようとしたときの難しさにおいて一番多いのは、これで合っているのかなという不安感。次に、真因課題が特定できていないないことがあります。新しいことをやっている風なのに実は昔のやり方に戻ってしまうとか、身近な先輩たちに聞いてしまうとか。本当に聞かなければいけないのは、新しく開発しようとしている領域の関係者、ユーザーであるべきです。そのようなことがあると思うので、並走しながら一個ずつここだよ、ここだよってサポートできるといいかなと思っています。

「研修を与える」のではなく「育てる」

森:
東芝テックアカデミーは本当に素晴らしくて、まず梅本さんの構想を最初に聞いたときに感動して、こんなにしっかりと課題感をもって、精神的なことも全社横断で進めようとしてらっしゃる。しかもそれが、バックオフィスの発信ではないということ。梅本さんのように、事業部の中にいらっしゃる方が先導をとって推進しているというスタイルについても、東芝テックさんという会社そのものがとても魅力的だなと思いました。
 
梅本氏:
実は私はSE出身で、後半は営業として関西支社、東京支社、九州支社、中部支社、それぞれの支社の責任者でした。その時に、それぞれの支社単位で考え方とか取り組み方がバラバラだということがあって、全社一本化した教育を立ち上げなければいけないとずっと感じていました。メーカーにありがちですが、「こういう教育プログラムを用意しました。受ける人受けてください。」のような話になるのです。それだと断片的なものしか身についていかないですよね。
個の人間に対して、長期間で一連の考え方を定着させていく。そのための研修を、複数回継続して追い続ける。実践しているプログラムの他にも、たとえば課題図書を提供して、レポートを提出してもらい、その評価をしていくこと等も行っています。主催側が「研修を与える」のではなく、「育てる」という考え方ですね。育てる中で課題感を感じてもらって、その解決をまた一緒に考えてあげるということをやりたかったのです。
 
初めてのことばかりでいろいろ悩みましたが、一緒になって考えていただきありがとうございました。これからもよろしくお願いします。いろいろなものを一緒に並走して支援いただけるととても助かります。
 
森:
引き続きしっかりとサポートさせていただきます。こちらこそ、これからもよろしくお願いします。本日は、ありがとうございました。
 
 
東芝テック株式会社様ホームページ
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