【2022年】ジョナサン・ブリッグス氏が注目するテクノロジートレンドは?

今回は、Hyper Island創立者のジョナサン・ブリッグス氏の記事をご紹介いたします。ジョナサン氏が注目している2022年のテクノロジートレンドとはなんでしょうか?エネルギー関連からメタバースまで、様々な分野での10のテクノロジートレンドを紹介しています。最新のテクノロジー動向を学ぶための参考にしていただければ幸いです。
 
【執筆者】Jonathan Briggs(ジョナサン・ブリッグス)/Founder, Hyper Island

ジョナサン・ブリックス氏
1996年、組織をデジタルかつグローバルに改革したいと考える個人や企業のために、Hyper Islandを創立。革新的な学びの創造者であり、IKEAやMoët Hennessy、Paul Smith、Unileverなどグローバルクライアントの戦略パートナーを務めている。OTHER media、Crimson Sunbird など自ら事業を立ち上げ、技術、アジリティ、データ、IoTや 興味深いソフトウェアのイノベーションを探求している。また、Unileverのデジタル諮問委員会に在籍し、NTUシンガポールのアジアコンシューマー・インサイト研究所の アソシエート・フェローとして勤務。過去には、ロンドンのキングストン大学でも教鞭を執っていた。

2022年に気になるテクノロジートレンドは?

2022年には何が待ち受けているのでしょうか。私は新たな新入生を迎えること、そしてヨーロッパでの数カ月間の休暇を終えて同僚に再会できることが楽しみです。しかし、今年の予測を立てるタイミングでもあります。この記事では、私にとって今年重要になるだろうと考えている10のテクノロジートレンドをご紹介します。

1.エネルギーとグリーンテクノロジー

私はCOP26(編集部注:2021年10~11月に英スコットランド・グラスゴーで行われた、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)を興味深く見守っていました。そして私たちが地球に与える影響は今年以降、注目の話題になると確信しています。これは、リサイクル、アップサイクルそして使用量の削減とともに、エネルギー市場、二酸化炭素回収、エネルギー貯蔵、そしてバッテリー技術について常にアンテナを張っておくということです。私はテクノロジーに対して楽観的であり、太陽光からの発電量を増やし、それを貯蔵し、必要なところに届けることができるかもしれないというアイデアを好ましく感じています。

2.ミーティングテクノロジー

私はこの2年間、地球上のあらゆる場所にいる人たちとZoomで共に時間を過ごしてきましたが、それはひどい経験でした。もちろん3〜4年前に比べればはるかに改善されていますが、ビデオ会議のモデル全体が変わる必要があります。学習や仕事をZoomに合わせて設計するのではなく、まずは人のためにデザインし、それから、遠隔や非同期のミーティング、そしてより効率的なミーティングを支える最適なツールを見つけましょう。私は最近、音声のみのミーティング技術に出会いました。この技術は、人々が部屋の中のスピーカーを感じ取るのを助ける方法として空間オーディオを研究しており、これと他のVRの開発は、今後の他の可能性を示しています。

3.相互運用性に向けた動き

2021年は、巨大テック企業について政府や規制当局が騒ぎ立てた年でした。Facebook(現Meta)、Google、Microsoft、Appleは全て、「壁に囲まれた庭」つまり、クローズドなプラットフォームを展開しており、私たちはそこから抜け出すのが非常に難しいのです。これらの企業を解体するという話もありますが、私はこれらの企業が、企業と彼ら/我々のデータを(APIを通じて)競合他社に開放することがはるかに良い解決策になると信じています。つまり、新しいソーシャルネットワークをデフォルトとして使いながらも、他のソーシャルネットワークで友達や同僚ともつながることができる(その裏側でメッセージがシステム間で転送される)ということです。

4.(ミニ)資格のブロックチェーン

これはかなりニッチな分野ですが、教育や研修業界の変革となる可能性があるため、私にとっては注目すべきものです。現在、資格は国の教育システムに組み込まれています。国際的にはいくらか等価性があり、特にEUでは加盟国間でレベルの調和を図ってきました。小規模な資格について同様のことを行った業界もあります。私は、学生が取得した短期コースの資格を分散型台帳に保存し、それを雇用者に見せられるよう携帯し、小さな資格からより大きな資格を(スマートコントラクトを使って)構築できるようになることを願っています。

5.サプライチェーン、支払い、そして仕事

現在の経済は、パンデミックの現フェーズを脱し、製品やサービスに対する需要が高まるにつれ、揺らいでいます。搾取的な仕事を辞め、特にサプライチェーンの流通部門では人員が不足し、過去20年間で常態化した総所得格差に取り組むよう政府に求めるなど、「大辞職」の兆しが見えています。これらは、これまでデジタルを使って行ってきたことの結果ですが、デジタルによってこれらの幾つかについて対処する機会が得られるでしょう。私は透明性の高いサプライチェーンデータ、クラウドソーシングによる配送、そしてr/antiwork(編集部注:現代の労働運動と反労働運動に関連するコミュニティ)の動きに注目していこうと思います。

6.サイバーセキュリティと信用

国も犯罪者も新たな対立を起こし、新たな犯罪を行うという、新たな「アタック・サーフェス」が見え始めており、2022年にはこれがより顕著になってくるでしょう。これまでプライバシー、アイデンティティの脅威やプライバシーの侵害について気に留めていなかった企業や個人が、これは自分事であると気付き、あらゆる変革プランの中にセキュリティを織り込まなければならなくなるでしょう。

7. ブランドのための世界観づくり

最近私のブログを読んだことがある方なら、私が未来を探求する手段として世界観を構築することに興味があるとお気づきでしょう。私は、デジタル・マーケティングやブランディングを理解するための方法として、世界観構築が素晴らしい手段になると見ており、2022年にはこれをさらに探っていくつもりです。

8. メンタルヘルス

最近では、コロナとソーシャルメディアが従業員や子供のメンタルヘルスに及ぼす影響や、社会に与える影響について多く報道されています。リモートワーク、遠隔授業、リモートでの交流、そして遠隔共有は、私たちが思っていた以上に私たちの在り方、お互いの関わり方に大きな影響を及ぼしているか分かってきました。私たちが何を教え、何を築き、そしてどのように組織を設計するかにおいてこの問題に取り組む必要があるのです。

9. 代替タンパク質と垂直農法

私は食糧科学者と農家が新たな食糧供給方法について開発を進めているということに強い関心を持っており、今年はこれに注目していくつもりです。スマート照明、かんがい制御、AI、栄養分モニタリング、そしてロボット工学を通じた食糧生産の自動化に、これほど多くの可能性が開けるとは誰が想像できたでしょうか。

10. メタバース?

確実に今年はVR(バーチャルリアリティ)、AR(拡張現実)、XR(クロスリアリティ)関連が騒がれるでしょう。そして、技術の進歩には面白くなりそうなものもあります(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー/CESを見てください)。しかし、これはまさにハイプ・サイクルのピークであり、本当のメリット(そして問題)が現れるまでには何年も掛かりそうです。
 
 
私は仕事における変化や、巨大テック企業の支配に対する挑戦など、これら多くのトピックスに関係性や関連性があることについて強い関心を持っています。私は今年、最新の情報を常に把握し、アイデアを試し、自分の組織や自分自身、そして地球への影響を探る人たちをサポートすることに重点的に取り組むつもりです。
 
※この記事は、原文Technology trends to care about in 2022?を、許可を得て翻訳、編集したものです。
 

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