ハイパーアイランドのAI&ビジネス関連プログラムの開発で学んだこと【パート1/3】

AIは今や、私たちの生活にとって欠かせない存在です。ですが、そもそもAIとは何か、何ができて何ができないのか、どのように協働していけばいいのか。考えたり理解している人はそれほど多くはないかもしれません。今回は、Hyper IslandのAIビジネスコンサルタントプログラムのマネージャー、Dano Marrによる3部構成の記事をお届けします。画家である彼がAIビジネスのプログラムを開発する上で何を学んだのか。パート1の本記事では、「人間」、「プロセス」、「テクノロジー」の3つに分けて解説しています。

パート1:なぜ画家がAIについて教鞭を執るのか?

私は画家です。幼いころからずっと絵を描くことが好きでした。とにかく想像力豊かな探検家で、SFを愛してやみませんでした。この1年半、私は業界の専門家と共にHyper Island(ハイパーアイランド)でAIビジネスコンサルタントプログラムを開発し、自ら運営しています。
 
では、なぜ画家である私がAIについてのプログラムを運営しているのでしょうか?私もこのことを自問しました。私は芸術家であり、この分野の専門家ではありません。しかし、創造することが好きなので、「なんて素晴らしいチャレンジだろう!」と思いました。私の仕事は、初心を持った学習者であることです。そして、AIを扱う仕事をしている人を見つけて、その人たちを招き、その分野で行っていることや発見していることを学生たちに共有してもらうことです。1年半経って感じることは、私はまだ表面的な部分をさらっただけということです。
 
Hyper IslandのAIビジネスコンサルタントプログラムは、(高度な高等数学に関わる)エンジニアが行うようなAI開発に関するものではありません。これらのテクノロジーの実用化や、AIを中心に構築した新たな製品やサービスの開発に携わったり、影響を受けたりするあらゆる人とのコミュニケーションの図り方を探求することです。
 
では、私はこの1年半、Hyper IslandのAIビジネスコンサルタントプログラムのマネジャーとして何を学んだのでしょうか? 私がフォーカスしたい分野は、「人間」・「プロセス」・「テクノロジー」の3つです。
 
まず「テクノロジー」から見ていきましょう。というのも、AIが登場するときには、決まってテクノロジーに最も注目が集まるからです。ですから、ここから始めたいと思います。次に「プロセス」に移り、どのように機能するかということに言及します。そして、最後に私が最も大切だと考えている「人間」に触れて締めくくりとします。しかし、実際にはこれを三角形で考えると、この3つはそれぞれ同じ価値を有する角に位置しています。なぜなら、3つ全てが役割を担っているからです。事業変革、社会の動き、仕事環境、自己啓発には必ずこの3つが影響を及ぼすものなのです。
 
それでは見ていきましょう。

テクノロジー

AIがテクノロジーの様相を変えつつあることは疑いようがありません。AIは、従来人が行っていた作業を自動化するためにどんどん活用されるようになっています。ロボットがさらに活躍し、仕事を奪われてしまうのではないかと不安に思う人もいるでしょう。しかし多くの場合、AIは作業をより速く、より簡単に、そしてより効率的にしているだけなのです。
 
銀行がAIを活用して不正を検知している事例を見てみましょう。従来、銀行取引明細書やクレジットカード領収書の確認は、従業員が手作業で行い、不正行為の兆候を探っていました。しかし、AIのおかげでこのプロセスが自動化できるようになりました。AIは即座に大量のデータをスキャンすることができ、人間には見破れないパターンを特定することができます。これにより、不正検出プロセスを加速させるだけでなく、人的ミスの確率を減らしているのです。
 
また、AIをビジネスに活用することで、顧客サービスを向上させることもできます。例えば、Amazon EchoやGoogle Homeは音声起動型のアシスタントで、顧客が製品を検索したり、購入したりするときに役立ちます。これらはAIを使って顧客の質問を理解し、自然言語で答えてくれます。
 
これにより、より良い顧客体験を提供するだけでなく、従業員がより複雑な業務に対応できるよう解放してくれているのです。

プロセス

AIはテクノロジーの様相を変革するだけでなく、ビジネス環境も変革しています。AIによってビジネスはもっと効率的に、そして機動的になり、市場における変化により迅速に対応できるようになりました。
 
例えば、アメリカのウォルマートでは、AIを使って顧客の購買行動を追跡調査することで、顧客がどの商品に興味があり、将来どの商品を将来購入しそうかをより正確に把握することができます。これにより、ウォルマートのような企業は、在庫の変更や製品の提供をより迅速に効率的に行うことができるようになりました。
 
Netflixでも、AIを使って顧客の視聴習慣を調査し、類似する、または関連する映画やテレビ番組を顧客にレコメンドすることで、顧客体験を向上させています。それだけでなく、顧客がどのようなコンテンツに興味を持っているのかをより深く理解することができるようになりました。

人間

AIは、テクノロジーの様相やビジネス環境を変革する一方で、社会環境も変革しています。企業は顧客と新たな、そして革新的な形でつながることができるようになり、企業内のコミュニケーションやコラボレーションの向上に役立っているのです。
 
例えば、Facebookは、AIを活用して翻訳機能の質を向上させています。AIを活用し、投稿やコメントをある言語から別の言語へと翻訳することにより、異なる言語を話す世界中の人々をつなぐことができます。コミュニケーションの障壁をなくすだけでなく、異なる文化を持つ人々との関係を築くことを可能にしています。


Dano Marr
 
私たちが情報を取り入れるということは、何を意味するのでしょうか? AIはどのように環境や状況を変化させるのでしょうか? AIは創造性、生産性、信頼できるもの、人間らしさというものにどのように影響を及ぼすのでしょうか?
 
次のパートでは、AIそのもの、そしてAIができること、できないことについてお話ししたいと思います。また、プロセスと、AIがどのように私たちに影響を与え、どのように協働するのか、つまり、どのように関係するのか? ということにも触れていきたいと思います。そして、先ほど述べたとおり「人間」についても見ていきたいと思います。私たちは人としてどうあるべきか、いかに学び、そして、どのように変化を受け入れていくのかについて述べたいと思います。それはまさに、私がこの記事でフォーカスしたいことなのです。その際にAIを絡めていきたいと思います。そして私が探求してきたこと、皆さんにとって楽しく探求できるだろうと思うことについてもお伝えしたいと思います。
 
これは次の記事お届けします。
・パート2はこちら
 
※この記事は、Dano Marr氏による原文『What I Learned in creating a program about AI & Business at Hyper Island (part 1/3)』を許可を得て翻訳、編集したものです。

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