海外企業視察レポート #0 20社超の海外企業訪問から学んだ、有意義な海外視察にするために必要な3つのポイント

dd postsを運営するTDSは2016年に新規事業部を立ち上げ、これまでに8ヶ国13都市を訪れ、20社を超える海外企業を訪問してきました。そのほとんどの視察に同行し、私が体感した海外視察を有意義にするために必要な3つのことをお伝えします。

なぜ海外に進出するのか

近年、海外市場は日本企業にとってますます重要なものになってきています。

TDSは日本でビジネスを立ち上げ、日本のお客さまとともにビジネスをしてきた純粋な日本企業です。現在、外国籍の社員も所属していません(今後採用予定あり)。そんな“ピュアジャパニーズカンパニー”が、なぜ海外に目を向けるのか。その理由はいくつかありますが、シンプルに語るとしたら「マーケットの開拓」です。

世界地図を見ても日本は極東に位置し、島国であるため海を渡らないと海外に出られません。そのため、ガラパゴス文化と称されるように、独自の文化を発展させてきました。これは決して悪いことではなく、実際に日本のデザインや技術は高く評価されています。

しかし近年は中国を筆頭とする近隣諸国の勢いに埋もれ、中央年齢は45~49歳という少子高齢化状態。国内市場規模の縮小が海外に目を向ける理由の1つであります。

また我々が新規事業を推進するにあたり、日本にはないアイデアや事例を海外から採り入れ、日本と海外市場とで共創していこうという目的もあります。


出所:総務省 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成30年1月1日現在)

視察に行くことは目的ではない

このような理由で海外視察はスタートしたわけですが、実際に海外企業を訪問してミーティングを重ねていく中で日本とのギャップを痛烈に感じました。そもそも「ミーティング」自体が、日本とは別物であると感じます。ただなんとなく参加している人は皆無で、発言をしないことは意見がないとみなされます。もちろん国や状況により違いはありますが、皆「自分ごと」として参加するという基本スタンスがベースにあると感じます。

では、そのようなミーティングを通して実りのある視察にするために、どんなことが必要なのでしょうか。私なりに考察した3つのポイントをご紹介します。

1. 目的の明確化

視察そのものは「目的」ではなく「手段」です。

手段である視察を通じて「何がしたいのか」「何を得たいのか」という目的を持つことは、訪問前のリサーチ時においても大切なクライテリアになりますし、そもそも会社の戦略でもあるためチームで必ず共通意識を持っておくことが必要です。

実際、ニューヨーク視察時に「目的は何か」「我々から持ち帰りたいものは何か」と、訪問先のCEOから開口一番聞かれたことがあります。最初は面食らったのですが、決して特別なことではないことを後に実感しました。ミーティングの冒頭に改めて目的を伝えることは、その後のディスカッションをスムーズに進行していくために必要です。「何のために来たの?」と言われないためにも、必ず目的を明確にしてから訪問することが基本です。

2. 事前リサーチ

目的が明確であるとリサーチも効率よく行えます。どこの国に行くのか、どういった企業に行くのか。我々はデザイン会社なのでデザインというキーワードをベースにリサーチをしていますが、その他にもいくつかキーワードを設定しています。そしてそのキーワードも視察ごとに変更するなど微調整を行っています。

実際に相手企業に会ってみないと詳細は分からない部分は正直あります。しかしお互いにとって有意義な時間にするためにも事前リサーチは大切です。また、初めて行く国の移動は慣れないものですし、現地の方と仕事をするうえでもその国の文化や宗教に関してもリサーチしておくべきだと私は考えます。現地で効率よく動き、訪問国に対するリスペクトを欠かさないという点においても事前リサーチをしっかりすることは大切です。

3. 脱「持ち帰る文化」

視察を重ねていく中で相手企業からよく言われることは、「日本人の判断の遅さ」です。せっかく時間とお金をかけて現地へ行きミーティングをしても、最終的な判断は「日本に帰国して決済権限者の判断を仰いでから」ということがよくあるそうです。しかもミーティング中に寝ている(!)人も中にはいたようです。

目的を持って行ったとしても、その場で判断できないと「なんでわざわざ来たの?」ということになりかねません。相手企業の経営幹部の方が参加できるミーティングの時間は限られます。「相手の時間を奪っている」という感覚は日本以上に感じます。判断を遅らせ機会損失をしないためにも、我々は毎回海外視察の際には社長に同行していただきます。

 

以上が私の考える実りある視察にするために必要な3つのポイントです。全て当たり前のように感じますが、これらは実際に相手企業との会話の中で出てきたことです。もちろん全ての日本企業が当てはまるわけではありませんが、実際に目的が不明瞭で判断が遅いというケースが過去にあったことは事実です。我々も試行錯誤の連続ですが、目的とスピード感を持って推進していくことの重要さは視察のたびに痛感します。

随所に感じる日本とのギャップ

初めて視察に同行した際、ひとつ一つの細かなところにカルチャーショックを受けていました。名刺交換1つをとっても、上司の名刺を部下がパパッと手裏剣のように配ったり、そもそもLinkedInのみで紙の名刺は持っていないという方も大勢いました。ミーティングルームには必ず飲み物と軽食が置かれ、「お好きにどうぞ」という雰囲気。

このような雰囲気にもだんだん慣れてきて、前回の視察時に名刺を片手で軽く渡したら、相手の方はお辞儀をしながら両手で渡してきたため慌てたりもしました(日本と取引のある企業は日本流の礼儀をよく理解されていました)。

周りからはよく海外視察を羨ましがられます。しかし事前の準備や現地でのミーティング、会社へのレポーティングに至るまで、想像以上に細かな作業の連続です。そして視察すること自体が目的ではないので、そこで終わりではありません。

しかし海外視察は私自身を大きく成長させてくれましたし、視野が大きく広がったのは確かです。日本の文化や商習慣が独特であることにも気付かされました。

今後は私の視察体験をシリーズ化し、今までの視察の様子を日本とのギャップなども交えながら、ご紹介していきたいと思います。

dd posts副編集長。2016年TDSの新規事業開発チームに参画し、マーケターとしてこれまで20社以上の海外デザインファームを訪問。リサーチから訪問という一連の経験から得たことを発信したいと思いdd postsのライティングも行う。東京生まれ東京育ち。最近の関心は筋トレとBodymake。

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