【初心者向け】デジタルマーケティングとは?今さら聞けない基本をわかりやすく解説

デジタルマーケティングは、今や企業のマーケティング活動において欠かせないものとなっています。本記事では、「全体像がわからない」「具体的に何から始めたらよいかわからない」という方のために、今さら聞けないデジタルマーケティングの概要と、具体的な施策などの基本について、初心者向けにわかりやすく解説していきます。

デジタルマーケティングとは

デジタルマーケティングとは、オンラインオフライン問わず様々なチャネル(Webサイト、メール、SNS、アプリ、IoT、実店舗など)を活用し、そこから得られるデータを活用するマーケティング手法のことです。
 
デジタルマーケティングが台頭してきた背景には、インターネット、スマートフォンなどのデジタルテクノロジーの普及による消費者行動の変化や多様化があります。
令和3年通信利用動向調査によると、インターネットの利用状況は、13歳から59歳ではほぼ100%、60代でも8割、70代でも6割となっており、ほぼすべての年代がインターネットを活用していることがわかります。

令和3年通信利用動向調査 インターネットの利用状況

またインターネットの利用機器の状況は、スマートフォンが圧倒的に多く、約7割がスマートフォンでインターネットにアクセスしています。

令和3年通信利用動向調査 インターネットの利用機器の状況

このようにユーザーは、いつでもどこでもインターネットを通して情報にアクセスできるようになりました。実店舗で商品を確認した後、口コミやECサイトをチェックし、比較検討をしてからECサイトで購入する「ショールーミング」や、ECサイトやSNSなどで商品を比較検討し、その後実店舗で購入する「ウェブルーミング」など、消費者行動も多様化しています。
 
そこで重要になるのが、オムニチャネルという考え方です。オムニチャネルとは、全てのチャネルという意味で、各チャネルを連携させ、オンライン・オフライン問わずどのチャネルでも、一人ひとりに最適化したサービス、コミュニケーションを提供する戦略のことを指します。
 
デジタルマーケティングでは、こうしたオムニチャネルに対応するだけでなく、同時に蓄積されるユーザーの行動データを分析、活用することで、ユーザーの本音や興味関心を高い精度で把握し、一人ひとりに合わせた最適なマーケティングを行うことを可能とするのです。

Webマーケティングとデジタルマーケティング

「デジタルマーケティング」と似た言葉に「Webマーケティング」がありますが、両者の違いはなんでしょうか。
Webマーケティングは、SEO、Web広告、SNSなどのインターネットを活用したオンライン上のマーケティング活動を指します。デジタルマーケティングはさらに広い範囲で、オムニチャネルに対応させたものです。たとえばデジタルマーケティングでは、実店舗、デジタル広告、テレビ広告、イベントなどのオフラインデータも収集対象となります。
ただし、ほぼ同じ意味で使われることも多いです。

従来のマーケティングとデジタルマーケティング

そもそものマーケティングの意味にも触れておきましょう。マーケティングの定義は様々ですが、一般的には「売れる仕組みをつくること」と言われます。様々なフレームワークがあり、市場調査や競合調査、商品開発、ブランディングなどもマーケティング活動に含まれます。デジタルマーケティングといっても、概念や考え方のベースはあくまで従来のマーケティングと一緒です。マーケティングを大きな箱に例えると、その中にデジタルマーケティングがあり、さらにその中にWebマーケティングがあるイメージをしていただくとわかりやすいでしょう。

デジタルマーケティングの特性


ここでは、デジタルマーケティングの本質に迫るために、デジタルマーケティングの特性について解説していきます。

ユーザー接点の増加

インターネットやデジタルが普及する以前は、顧客との接点は、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌、アナログ広告、実店舗、訪問営業など限られており、いわゆるプッシュ型のマーケティングが主流でした。現在はそれらに加え、Webサイト、メール、SNS、アプリなど、オンラインのチャネルが増加し、より最適なタイミングで、より最適なチャネルを通してユーザーとつながることができるようになりました。

ユーザーが主体に

前述したとおり、ひと昔前までは、企業が一方的に情報を伝えることしかできませんでした。デジタル化により、ユーザーは企業と直接つながれるようになっただけでなく、口コミサイトやSNS、動画サイトなどを通して情報を発信できるようになりました。企業だけではなく、ユーザーがマーケティングの一端を担うようになったのです。

データを分析、活用する

様々なチャネルを通して得られるユーザーデータを分析、活用し、データドリブンなマーケティングを行えることもデジタルマーケティングの特性です。データドリブンとは、勘や経験に頼るのではなく、データの分析結果をもとに顧客を理解し、アプローチしていく手法を指します。KPIを設定し、効果測定をしながら施策を実施してくようになったことが、旧来のマーケティングと大きく異なる点です。

デジタルマーケティングで実現できること

言うまでもなく、マーケティングの目的は、売れる仕組みを作り、売上を上げることですが、それを実現するためには、顧客と継続して良い関係を築いていくことが求められます。なぜなら、多くの場合、商品やサービスは一度買って終わりではないからです。
 
そのためには、一人ひとりにあわせてよりパーソナライズされた「One to Oneマーケティング」が求められます。One to Oneマーケティングとは、データに基づき、ユーザーの属性や興味関心に合わせて、それぞれ適切なアプローチ、コミュニケーションをするマーケティング手法です。
 
オムニチャネルで展開し、データドリブンであるデジタルマーケティングは、One to Oneマーケティングを実現する手法として重要視されています。

デジタルマーケティングの手法


Webマーケティングの手法とほぼ重なりますが、デジタルマーケティングの手法は多岐にわたります。ここでは、主な手法をご紹介いたします。

①Webサイト制作、運用

企業のデジタルマーケティングにおいて、必ず実施されるのがWebサイト(ホームページ)の制作、運用です。Webサイトは、目的や戦略をもって制作することが大前提ですが、制作して終わりではありません。アクセス解析ツールやヒートマップツールなどを活用しながら現状分析を行い、施策、改善サイクルを回していくことが必要です。
具体的には、情報の更新や追加、ブログ記事の公開、コンバージョンまでの導線の設計の見直しなどがあります。

②デジタル広告(広告施策)

デジタル広告(Web広告)は、WebサイトやSNS、動画サイトなどに表示される広告のことです。テレビCMなどマスに向けて発信する広告とは違い、細かいターゲティングができるため、必要としている人に届けられることが最大の特徴です。数あるデジタルマーケティングの手法の中でも、顕在層の獲得に向いており、即効性のある施策と言えます。また、柔軟に運用でき、予算のコントロールをしやすいことも特徴です。
 
ひとことでデジタル広告といっても種類は様々です。主な媒体を見ていきましょう。
 
・検索連動広告(リスティング広告)
GoogleやYahoo!でキーワードを入れて検索したときに、検索結果画面に表示される広告。
 
・ディスプレイ広告
Webサイトや、アプリの広告枠に表示される広告。バナー広告や動画広告などがある。
 
・DSP広告
DSP(Demand Side Platform)という広告主側のプラットフォームを通じて配信されるディスプレイ広告。
 
・SNS広告
Facebook、Instagram、Twitter、LINEなどのSNSに表示される広告。特にFacebook広告は、実名登録であることから精度も高く、Google、Yahoo!に次ぐ媒体となっている。
 
・ネイティブアド広告
ニュースサイトなどのメディアにおいて、記事と融合させた広告。
 
他にも、成果報酬型のアフィリエイト広告、記事タイアップ広告などがあります。
自社の商品やサービスの特性、ターゲット、目的を踏まえ、適切な媒体に出稿していくことがポイントです。

③SEO施策

SEOとは、Search Engine Optimizationの略で、「検索エンジン最適化」と訳されます。Googleなどで検索された際、自社サイトが上位表示されるよう、検索エンジンにおけるWebサイトの評価を高める施策のことです。自社サイトが検索結果に表示されなければ、存在しないことと同じになってしまいます。逆に、上位表示に成功すれば、半永久的な効果が期待できるため、特に重要な施策になっています。
 
また、音声検索も一般的になった近年では、VSO(音声検索の最適化)もあわせて重要視されています。

④MEO対策

MEOとは、Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)の略で、Googleマップの検索結果に上位表示させる施策です。「ローカルSEO」とも呼ばれ、飲食店、小売店、サロンなどの実店舗を持つサービスには必須の施策になります。

⑤コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、自社のブログや動画などのコンテンツを主軸に、ユーザーに価値のある情報を提供し、見込み客の獲得やコンバージョン、さらにファン化につなげるマーケティング手法です。よく用いられる施策に、オウンドメディア(自社メディア)の運用があります。オウンドメディアやブログは、SEO対策とあわせて実施されることも多い施策です。検索対策はデジタルマーケティングにおいても特に重要なため、積極的に取り組んでおきたい施策ですが、近年は上位表示の難易度が上がっており、即効性は低く、長期的に粘り強く取り組んでいかなければならないことも考慮しておきましょう。
 
メールマーケティングや動画マーケティングもコンテンツマーケティングの一環ですが、こちらは次項で解説します。

⑥メールマーケティング

メールマーケティングは、メールの配信を通して顧客とコミュニケーションをとるマーケティング手法です。商品購入後のサンキューメールやフォローメールの他、ステップメールやターゲティングなど、顧客の属性や段階に応じた配信も可能なため、顧客との関係構築に効果的と言えます。商品やサービスの検討期間が長い場合や、顧客と長期的な関係を築きたい場合には特に有効です。

⑦動画マーケティング

動画マーケティングとは、動画コンテンツを制作、配信することで、集客や販売につなげるマーケティング手法です。YouTubeなどの動画サイトを活用する他、自社サイトに動画を設置するケースもあります。

動画の情報量は、テキスト情報の5000倍とも言われます。文字だけでは伝えきれない情報を適切に伝えられる他、個性的な動画を作れば拡散も狙えることから、昨今とくに注目を集めているマーケティング手法です。

⑧SNSマーケティング

SNSマーケティングとは、TwitterやFacebook、Instagram、LINEなどのSNSを活用し、認知拡大や、ブランディング、顧客との関係構築につなげるマーケティング手法です。総務省が発表した令和3年通信利用動向調査の結果によると、情報収集のためにSNSを利用する人の割合は約64%で、年々増加傾向にあります。今後ますます重要になるため、すべての企業が取り組んでおきたい施策の一つです。SNSのアカウント運用の他、広告出稿やインフルエンサーマーケティングも含まれます。
しかし、つい先日EUはMeta に対し、パーソナライズされた広告へのアプローチを改革するよう要求しました。このような規制上の決定などを受けるなど、刻々と変化することも事実なので注視が必要です。

⑨アプリマーケティング

スマートフォンのアプリを通じて顧客とコミュニケーションを図ったり、利用、購買につなげる施策です。セール情報やコンテンツを発信したり、アプリユーザー限定のクーポンを発行するといったことが挙げられます。アプリのプッシュ通知機能で、リアルタイムで情報を届けることができます。アプリを利用している優良顧客を対象としている点、SNSなどと違い自社の情報を独占的に配信できる点も特徴です。

⑩IoT活用

IoT(Internet of Things-モノのインターネット)とは、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノ(家電、ゲーム機、電子機器、住宅、車など)がインターネットにつながることです。スマート家電が代表例で、外出先からスマホで家電を遠隔操作することができるなど、すでに私たちの生活でも身近になっています。このIoTで蓄積される膨大なデータを収集・分析することで、企業は今まで読みづらかったユーザー行動データをより細かく解析し理解することができるようになりました。一人ひとりに合わせた内容やタイミングでの広告配信など、マーケティング活動に活かすことが可能です。

⑪マーケティングオートメーション(MA)

マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動を可視化し、施策を自動化、効率化する手法やツールのことを指します。マーケティングオートメーションツールを導入することで、マーケティングの単純業務(顧客リストの管理やメール配信など)を自動化、仕組み化することが可能です。より効果的、効率的なマーケティング活動を実施できるため、大企業だけではなく中小企業においても注目されている施策です。

⑫その他の手法

デジタルマーケティングにはその他にも次のような様々な手法があります。
 
・FinTech(フィンテック)
・VR、ARの活用
・AI活用(Web接客ツール、AIチャットボット、レコメンド機能など)
・ビッグデータ活用
 
近年ではとくに、AmazonやYouTubeなどのレコメンド機能に代表されるAI技術の活用が注目を集めています。

まとめ

デジタルマーケティングの概要や、具体的な施策について解説いたしました。デジタルマーケティングは、企業活動では欠かせないものです。本記事が、デジタルマーケティングの基本や全体像の理解につながれば幸いです。
 
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